小川美知「バズカット」

バズカット
Buzz Cut
2020 油彩・キャンバス
oil on canvas
116.7×90.9
Drowing1
process「to Live」 〝ogawamichi〟 自画像。 TO LIVE ってテーマに自画像なんて、 ストレートすぎて恥ずかしい。 と我ながら思う。 正直に言うと、 家からあまり出ないから、 自分ぐらいしか描くものもない。 カフェや電車の中で見かけた人をスケッチするのが日常だったから。
エスキースって何枚か描くけど、 大抵は一枚目が一番良かったりする。 描きたいものが凝縮されているような感じ。 手慣れていない画面の緊張感とか迷いとか、 そうゆうのがいい。
一枚目の顔の感じで描きたいけど、50号だから、少し構図を探ってみないと。右に思いっきり寄せてみた。左の空間空きすぎだ。でも、なんか物言いたげな雰囲気で悪くはない。こうゆう静的な画面って一度描いてみたいよね。まぁ、そこまで物憂げな人間じゃないけど。
もう少し構図を探る。これは4枚目。こっち見てる感じで。すこし描きこんだから、顔が似てきたかも。顔と手と、見せたいところだけをしっかり描いてみた。こうゆう描きかけっぽいの、好き。構図も動きがあって悪くない。とりあえず、この方向でいってみようか…。
エスキースのドローイング
エスキースのドローイング2

ホントのこと言うと、エスキースなんて面倒くさいのだ。さっさとキャンバスにドバーっとやってしまいたい。でもそれでも、我慢してエスキースを描く。キャンバスに向かったときの緊張感とか、ドキドキ感とか、ちょっと我慢があったほうが高まるから。描き始めの緊張感を越えて「えいっ」って描き始めると、妙な達成感がある。始まったばっかでなんも達成してないけど。とにかく、それは私のルールのひとつなんです。

https://youtu.be/T4cnvAU8ECc
制作過程序盤(2倍の速さだ!)

自画像なんで、鏡をみながらの制作。見ないと描けない(笑) もっと大きな鏡を持ってこようかな…。 よく見えない。 人体をよく知っている人は、人の体を見ないでも描けるんだろうけど、私は見ないとダメ。 勉強不足ですね。 いやいや、やっぱり、知っていても見ないと描けないな…。

一通り描いて、結局また消した。やっぱり構図を変えてみようと思って。左に寄せて立ち尽くすの図。ドローイングの2枚目のイメージに近いことを試してみようと思った。部屋の中で立っている人物…みたいな。
こんな感じで、ぼってりと、人間の質量だけが、どっさと室内にある…というイメージ。こうゆうので描き切れれば、カッコいいのだけれど。今はこれがやりたい訳じゃない。
人間のカタチを描くことからは逃れたくない。かといって、明確に人体をえがけば、その存在がなんだか薄っぺらく思えてくる。どこまで人間化させようか…と思案。ゾンビっぽいのいい感じだけど。
画面に空間を出したかったから、右側に室内を描き始めた。アトリエだ。全体にしっかり描いてから、白で消していこうかなとおもいつつ、絵具を乗せ始めたら、おおよそのイメージが見えてきた。
やっぱり、やめた。どっかで見たような古臭くてつまんないモノになりそうな予感がプンプン。そんな気分でもないんだよ。やっぱり元の構図に戻そう。そっちのほうが、今の自分になる。つぶしたれ。
描きなおし。やばい、なんだこれ、すごいカッコいいじゃん…。 レモンイエローがイイ。 さてここで、筆置くか? キャンバスに描き始めて3日目。明日は作業できないから、金、土とあと2日間。 2日間で次の「決まった」まで行きつけるだろうか…。 このフレッシュなカッコよさは無くなるけど、もう少し密度を上げた画面も見てみたい。エスキースで掴んだイメージはもう少し暴れていない画面だったし。いや、エスキースにそこまでこだわりはないんだけど。 なんて、ひとりやりとりをしながら、就寝。
で、結局、筆は置かずに。手を加え続ける。今日は一日、顔描いて終わった。たぶん明日も顔描いて終わる。それで良し。顔だけでおしまい。

BUZZ CUT バズカット

バズカットったなに?とけっこう聞かれる。坊主頭のことなんです。この自画像は、私のバズカット記念ですね。他人に言わせると、あんまり似ていないらしいけど。自分が見ている自分と、他人の見ている私は違うのだよね。私は自身を見ることがあまり好きではなくて、写真とかも逃げることが多いのだけど、それは、自身の顔があまり好きではないからなんだけど、自画像描いてると、意外に整った顔してるじゃんっておもったり、あと、今田耕司に似てるなとおもったり。いとおしく大切にしたいと思った。

“小川美知「バズカット」” への2件の返信

  1. S.Sekiguchi さんの発言:

    キャンバスに描き初めて3日目という自画像が
    好き。筆の勢いというか心の勢いが感じられ、
    表面上の複雑な(表現が悪くてごめん)顔とは違って。
    もっとももう完成作品の下に潜んでしまったけど。
    小川さんのの制作過程を見て勉強になりました。
    エスキースなんてめんどくさいのだと言いながら何枚も描く姿勢!うーん!ありがとう!

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  2. style16@master さんの発言:

    わたしもこの、3日目が気に入っているんですよ。今回は目指すところをもう少し先に置いて、描き続けてみたけれど、この3日目の状態がいいから、次回はこれを目指して描いてみてもいいかなって思っています。コメントありがとうございます。励みになります。

    返信

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